ワンコを新しい家族に迎えてから今日でちょうど2か月になりました。ワンコのゆず(♀)が自己紹介と我が家に来た時の体験談を話すそうなので、よかったら皆さん、聴いてあげて下さい。
生い立ち
あたいのコードネームはゆず。
一応オンナよ。犬種はジャックラッセルテリア。キツネを確実に狩るために、イギリスで交配のもとに作られた一族の末裔さ。
犬の中では小型犬の部類ね。でも、そのボディの小ささと比較したスピードとパワーは、軽自動車にF1のエンジンを搭載したようなもの、と例えられているわ。
さらに犬種特有の賢さと執拗さは、スナイパーにもってこいの素質なのよね。
あたいは多くの仲間たちと共に、SAITAMAの養成所で産まれ育った。
人間どもはその養成所を「ブリーダー」と呼んでいる。まぁタイガーマスクで例えるならば「虎の穴」のようなもの。吉本で言えば「NSC」ね。
まさに犬版の「ニキータ」ってところかしら。
うふっ。
そして今日は、あたいにとって初めてのミッション。
はるか南のYOKOHAMAへ潜入し、すずわん家を混乱させる事。妨害するものは何人たりとも許さない。
鍛え上げたバネのような肉体と大きなキバ。確実にキツネの喉元を狙える技術。そしてどんな男でも魅了する美しい毛並みとすらりとした肢体。これらの武器でどんなミッションでもクリアしてみせるわ。
おや。やっと来たわね、ど田舎のYOKOHAMAからターゲットのすずわん一味がノコノコと。
早速尾行を開始するわ。
潜入
まんまとクルマの後部座席に積んであったキャリーバッグの中に忍び込んだわ。忍び込んだというよりは、さっき無理矢理押し込められたのだけどもね。でも後部座席からしっかり監視してるわよ。マヌケな面をした人間の男女が運転席と助手席に座っている。どうやら男の方がすずわん、女の方がヨメと言うらしいわね。
しかしYOKOHAMAというところは遠いわ。プラスチック製のキャリーバッグがカタカタと揺れる。あのヨメのようにちゃんと助手席に座ってシートベルトをしてコーヒーでも飲みたいわ。
それに狭いし。もう・・・せっかくセットした毛並みも台無し。早く着かないかしらね。
・・・マズイわ。
「ブリーダー」から出撃する時、ボスに「今日のミッションは長距離移動だ」って水を大量に無理矢理飲まされたのだけれども、その水が・・。
おえっ。けぷっ。
あたい・・・少し酔ったみたい。
仕方がない、しばらくは寝ることにするわ。
おやすみ。
対決
はっ!いつの間にかクルマが停止している。
もしかしたらここがすずわん家。生意気に一軒家だわ。
あっ、マズイわ!
キャリーバッグに潜入しているのを見つかったわ!でも大丈夫。プロフェッショナルは慌てない。だって、あたいをキャリーバッグに詰め込んだのはこいつらだし。
思う存分、仕返しをしないとね。
すずわん「いやー、かわいいなー」
ヨメ「もうお座りできるかな?ゆずっ、お座り!」
ふっ、何やら舐められてるわ。お座りって何よ、こいつら。でも、あたいの正体を知らないんだから仕方がないか。ここは一発あたいの戦闘能力を誇示して、こいつらを大人しくさせちゃうわ!
いくわよ!
「ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!わ・・・」
ヨメ「うるさい!おすわりっつってんだろー!オイ!コラ!」
ゆず「わん。わふ・・。」
すずわん「はい」
ふっ、あたい負けたよ。
こんなの人生で初めてさ。
なぜかダンナもお座りしてるわ。
あたいのコードネームはゆず(♀)
世界最高のスナイパー。
今日からこの家にお世話になります。